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怖いのは熱いものだけじゃない?子どものやけど
幼稚園や保育園では、どんな状況でやけどの可能性があるか
昔は冬場というと、公共の場所では、コークスや石炭、灯油といった燃料を使うストーブ、ダルマストーブなどがしばしば使われていました。
灯油ファンヒーターや電気のみのエアコンを使うことが多くなった今でも、現役で使われているストーブを見かけると、懐かしいような、頼もしいような気持ちになることがありますが、
幼稚園や保育園といった子どもが活動する空間では、ちょっとデンジャラスでもあります。
昔の子どもと違い、家に帰ればセントラルヒーティングも当たり前という環境で育った子どもにとって、「ストーブ=さわったら熱いもの」という実感がわかない場合もあるので、
天板などにあまり考えなしにさわってやけどをしてしまう可能性があるからです。
ですので、周りにガードできる“さく”を置いて、子どもを近づけないようにした方が無難です。
そのほかにも、お弁当や給食のときに、お茶、みそ汁といった熱い飲み物を配ることもあるのではないでしょうか。
それらは大した熱いものではありませんが、もしも大量にかかってしまったら、皮膚が赤らんだり、やけどといえる症状が生じる可能性もあります。くれぐれも注意しましょう。
配る際に注意するのはもちろんのこと、もしも食事ということでテンションが上がって騒いでいる子どもがいたら、はしゃいで振り回した腕が汁わんをひっくり返すようなこともありますから、
「ごはんは落ち着いて食べようね」と一言かけて、いさめることも大事です。
熱い液体といえば、湯沸しケトルや、ガスでわかすやかんなど、お湯を沸かして使うことも意外と多いのではないでしょうか。
殊に小さな保育施設だと、かなり家庭に近いシチュエーションとして考えた方がいい場合もあります。
小さなお子さんがよちよちと台所に入ってきて……と考えたら、危険度が想像できるのではないでしょうか。
絶対にお子さんが熱いものや熱くなる可能性のあるものに触れることがないよう、しっかりガードしてください。
極端に熱くなくても、やけどはあり得ます
やけどは漢字で「火傷」と書くので、じりじりと肌を焼くようなイメージも強いのですが、60度程度の「ぬくぬく温かい」から「やや熱め」程度の温度のものに長い時間触れていることでやけどをしてしまうこともあります。
これを「低温やけど」といいます。
例えば電気を使って温めるブランケット、アンカ、あるいは最近ならば、体に湿布のように張って使う使い捨てタイプのカイロも大変普及しています。
ちょっと表面が赤らむ程度なのではと軽く考えてしまうかもしれませんが、症状は意外と厄介なものです。
皮膚の下の組織までやけどが及び、びっくりするほどひどい状態になってしまうことも少なくないものです。
あまり小さなお子さんに使うことはないかもしれませんが、「寒がってかわいそうだから」と、親御さんが使い捨てカイロを使わせることもあります。
もしもそんなお子さんを見かけたら、低温やけどの危険性などを十分に説明し、お子さんに使い捨てカイロを使わせないようにという通達をした方がいいかもしれません。
ひと口に「やけど」と申しますが……
熱湯や揚げ物の油のハネ、電子オーブンで調理を終えた後にアツアツの容器を触ってしまったなど、特に料理を日常的にするような人は、日常生活の中で結構小さなやけどをしているものですが、
大抵、病院に行くほどでもなく、ちょっとした塗り薬などで治ってしまうのではないでしょうか。
そのぐらい身近なトラブルであることは肝に銘じるべきです。
一方、やけどが原因で皮膚科のお医者さんなどに診てもらった経験がある方なら、やけどには実は「ランク」があることを御存じではないかと思います。
皮膚の下のどの程度の部分まで及んでいるかで、大きくは1度から3度までの3段階に分けられます。
まず、「1度」と言われるのは、肌の表面が軽く赤くなり、ややひりつきを感じる程度のやけどです。
これは跡形もなくきれいに治ってしまうことも多いので、今後は注意しよう、という程度で済みます。
また、夏に海やプールに行って日焼けした際、ひりつきや皮むけに悩むタイプの方なら実感するところだと思いますが、実はいわゆる「日焼け」もやけどの一種であるとされています。
次に「2度」ですが、これはやけどを負った部分に水ぶくれができたり、ひりひり程度ではすまない、刺すような鋭い痛みに悩まされたり、かなり深刻な症状です。
やけどの跡が残ってしまったり、肌のその部分だけが白っぽくなってしまうこともあります。
また、邪魔な水ぶくれが気になって針で突いて破り、水を出すという荒療治をしてしまう人も多いようですが、これは感染症のおそれもありますし、感心しない処置法です。
ぜひ皮膚科で診てもらい、正しい処置をしてもらいましょう。
最後に「3度」のやけどですが、これは重症ですし、そんなやけどを負うのはもはや緊急事態です。
深部まで届いた熱が神経や血管までも傷めてしまうので、感覚が全くなくなってしまうこともあります。即刻皮膚科、または外科での診察をお勧めします。必要なときは救急車を呼びましょう。
また、やけどを負う体の皮膚表面の範囲や割合も問題になってきます。
ちょっと熱いものに触った程度なら、割合をうんぬんするほどでもない、本当の一部だけですみますが、一般に、皮膚の1割以上の部分にやけどを負うと、命にかかわる事態も考えなければなりません。
それはいわゆる「1度」と診断されそうなやけどであっても危険ですので、すぐに病院で診てもらってください。
先ほど、日焼けもまた一種のやけどだということは申し上げました。
特に海水浴などで日焼けをした場合は、当然のように「広範囲にやけど」していることになりますから、自己判断は難しいかもしれませんが、念のために診てもらった方が賢明です。
ちなみに人の手のひらの表面積は、その手の持ち主の1%程度だと言われています。
実際に手足や胴体にさわってみたときに触れている部分が表皮の1%ということです。ちょっと広い範囲に及んでしまったかなと心配なときは、この「手ばかり」を覚えておくと便利でしょう。
人間の頭、腹部、手足といった部位を大づかみに9%ととらえて計算する「9の法則」という言葉もあります。
頭の部分が9%、胴体の前後がそれぞれ18%、腕を18%、両足を36%、陰部を1%とすると、合計がちょうど100%になるでしょう。
小さな子どもの場合は5分割で20%ずつで計算する「5の法則」と呼ばれるものがあります。これをざっと覚えておけば、どの部分にやけどを負ったかで、どのくらいの範囲をやけどしたかを概算できます。
子どもがやけどを負った際の緊急の処置は
もしもやけどをしてしまったら、まず冷やしてください。
流水を10分以上、やけどを負った部位に当てます。洋服の上から熱湯や熱い油をかぶった、火がついてしまったという場合は、着衣のまま水で冷やします。
服の繊維が熱で皮膚に張り付いているような場合は、無理に服を脱がせようとすると、皮膚ごとはがれてしまう危険性もあるからです。
小さく症状も軽いやけどならば、この流水だけでかなりおさまります。
もしもやけどが比較的深くまで及んでいそう、あるいは範囲が広く、「ひどそう」な場合は、緊急的には冷やすことが大事ですが、
水が直接肌に当たるような場合は、強い流水で皮膚がむけてしまう可能性もあるので、その点で注意が必要です。
皮膚がむけてしまうと、そこから細菌が入り込み、感染症の危険も出てきますので、ホースのように固まりで出てくる水ではなく、シャワーやアクアガンのように水圧がバラバラになるものを使いましょう。
あるいは湯船やたらいに冷水を張って、そこに患部を浸すのも手です。
いずれにしても、これは緊急の場合の対処法であり、ひどいやけどの場合は、病院で診てもらうことが基本です。
やけどの範囲を大づかみに知る方法は先ほど申し上げたとおりですが、小さなお子さんの場合、手のひらサイズのやけどを負ってしまったら、一も二もなく病院に急いでください。
薬についてですが、傷に効く万能薬のようなタイプのものだと、「火傷」という項目もあるかもしれませんが、やけどの程度によってはよくない場合もありますから、素人の判断で塗るのは危険です。
きちんと診察してもらい、病院で処方してもらった薬を使うべきでしょう。
薬といえば、参考としてぜひ覚えておいていただきたいのが、塩酸や硫酸がかかってやけどを負ったときに対処法です。
学校とは違い、その危険性はほとんどないと考えられますが、覚えておいて損はありません。
着衣の上から薬品がかかってしまった場合は、着衣のまま水で冷やし、身長に服を脱がせてから、薬品がかかった部分を洗い流してあげてください。
服が脱がしづらいほどに繊維が変質した場合は、肌を傷つけないように気をつけながら、ハサミで繊維を切って脱がせましょう。
以上、子どものやけどについてまとめました。やけどの状態ごとの対処法をきちんと把握し、ひどい場合はすぐに病院で診てもらってくださいね!
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