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子どもには大変多い事故「誤飲」
子どもは何でも口に入れ、それを飲みこんでしまったり、のどに詰まらせたりします。
その結果、命を落としているような痛ましい事例もしばしば報道されていますが、一向に減っている様子は見られず、どんなに注意しても起こってしまう事故のようです。
子ども自身に注意しても限界があるのだとしたら、家庭でも、子どもを預かっている園でも、意識改革ともいうべき注意を要するのではないでしょうか。
子どもの誤飲はそもそもいかにして起こるか
子どもはなぜ、食べ物でもないものを口に入れてしまったりするのでしょうか。
5カ月、6カ月となると、徐々にハイハイなどもできるようになり、動きが大分活発になってきます。
まだ離乳食も始まっていないような時期ですから、当然、食べ物と食べ物でないものの区別もつくわけもなく、すると動き回ってその辺にあるものを手にとり、いたずらに口に運んでしまうこともあるわけです。
気管には、食べ物や異物が入り込まないように「ふた」がついていますが、この月齢ではそれも発達していません。
口の中に入れてはいけないものが入りがちな上に、異物を気道からシャットアウトする機能も未発達となれば、誤飲だけでなく、気道に異物が入りこんだための心配もあるわけです。
小さな好奇心が誤った方向に走ってしまう上に、体が未発達。となると、周囲の大人が目配り、気配りをして防衛するしかありません。
子どもの誤飲にはどんな事例があるか
まず、小さなおもちゃ。これは色といい、形といい、子どもの好奇心をくすぐるに十分の要素があります。
与えるにふさわしい年齢や月齢を明記してあるおもちゃも多く、さらには口に入れると反射的に吐き出してしまいたくなるような苦い味がするように加工してある場合もありますから、一応の防衛策は打ってあるともいえます。
が、もちろんこれだけでは十分ではありません。
保育園では幅広い年齢の子どもがいますから、乳幼児が大きなおにいちゃん、おねえちんの遊ぶおもちゃに手を伸ばしてしまう可能性もあります。
5、6歳の子なら、さすがに口に入れていいものと悪いものの区別がつきますし、誤飲・誤嚥の可能性も低いので、小さなおもちゃ、おもちゃに付属する小さなパーツなどを与えても危険性は少ないのですが、
その生活空間にハイハイ期の赤ちゃんが入り込めば、そういった小さなおもちゃが赤ちゃんの口に入ったとしてもおかしくはありません。
大昔はやったおもちゃで、かたいゴムでできたスーパーボールというものがあります。
あまりにもはずむので、学校に持ち込んだ子どもがガラス窓を割ったりといった問題が生じ、少しはずみ方がセーブされたといういわくつきのものですが、実は問題はそれだけではありませんでした。
まんまるで口に入れやすく、のどにも落ちやすい、その上表面がツルツルなので除去もしにくいという、誤飲や誤嚥のためにあるかのごときおもちゃです。
子どもが口に入れた次の瞬間には窒息という恐ろしい事態に直結していると思っていいほどです。
そもそもが子どもの遊ぶものですし、駄菓子屋さんなどで簡単に手に入るものですが、分別のない乳幼児にとっては危険この上ないおもちゃです。
絶対、園の空間にこのようなものをおかないようにするべきなのはもちろん、ある程度年齢の高い子どもが園バッグなどに潜ませてきても全くわからない程度の大きさのものですから、いつ持ち込まれないとも限りません。
見つけ次第、とりあえずは子どもの手が届かないところに保管するようにしましょう、
もしも子どもののどに異物等が詰まってしまった場合は
子どもを下向きにして後ろから抱き上げ、背中をやや強めにドンドンと叩いてください。うつ伏せに寝かせてもいいでしょう。
浅い場所ならば、それで出てくる可能性も十分あります。どうしても取り出せない、出てこないというとき、息が止まっているのを確認したときなどは、119番通報をしてください。
次に、クリップやピンなどの、先が針状にとがったものを飲んでしまった場合です。
これは気道に入らなかったとしても、食道を傷つけたり、食道を通った後も胃に落ちて傷つけてしまったりしますし、食道の途中にひっかかってしまう可能性もあるのです。
取り出しには全身麻酔を伴う大がかりな手術が必要になったりといった大事になり、子どもの心身に重い負担をかける原因になるものです。
そもそも、なぜこんな見るからに危なそうなものを飲みこむ結果になるのでしょう。
例えば、ちょっと掲示物を貼ろうとして画鋲などを台の上に置いておいたら、
それがお花模様の飾りがついたかわいいものだったので、ついつい興味を引かれた子どもがごくり……ということは、100%あり得ないとは言えないのではないでしょうか。
子どもがそのようなものを飲んだ可能性があるときは、口を大きく開かれて、中を覗いてください。
取れそうな場所にあるものは指でつまみ上げるとして、もっと奥まで入ってしまったものや、どこかに刺さって出血をしているような場合は、やはり迷わず119番に通報する案件です。
次に電池、特にボタン電池です。種類も多く、さまざまな用途に使われている上に、薄い小さなものが多いので、簡単に飲みこんでしまうのは想像できます。
中に含まれた物質が胃の中で漏れ出したり、電流が流れてしまうおそれのあるものまである、まごうかたなき危険物です。
といっても、すっかり放電してしまったような、使い切った電池ならば、そういった意味での危険性は低い上に、胃の中で消化しませんから、便と一緒に排出されるだけです。
問題は、使いかけで放電されていないものと新品の電池、そして電流が流れる心配があるリチウム電池です。
飲みこんだ電池の種類によって対応も変わってきますから、どのような電池を飲んでしまったか、種類や状態をちゃんと病院で説明できるようにしておきます。
状況が許せば、同じ型の電池を持っていけば話が早いでしょう。
この場合、入院して経過を見る必要が生じる場合もありますから、園のスタッフは、保護者との連絡を特に密にしておいてください。
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